レーゼルは、ドイツシャルプラッテンの廉価版で買い集めました。
旧東ドイツのピアニストや指揮者の多くは、西側のアーティストのようにきらきらした階段を上っていけない人がほとんどです。でも、圧倒的な実力を兼ね備えた人もたくさんいました。シャルプラッテンの演奏を聴くと、そういうことがよくわかります。中でも、レーゼルは別格でした。
昨日、紀尾井ホールでレーゼルを聴きました。とても疲れていたのですが、なんとか電車に乗り、会場にたどり着きました。
ドビュッシーの版画と子供の領分、そしてフランクの前奏曲、コラールとフーガ。
一切の雑味のないクリアな音。しかし、現代的な鋭利な響きではなく、一音一音が温かい。弱音から強い和音まで、全てに血の通った音楽。かつてディスクで聴いて驚嘆した音と同じ、いやそれ以上でした。
モーツァルトは、色彩豊かなバッハのようでした。時々ベートーヴェンやブラームスのソナタのようでもあります。そう、モーツァルトはバッハに連なる作曲家なんですね、そして、レーゼルの演奏は、それ以降の作曲家たちの流れをも知り尽くし通り過ぎてきた後の表現でもあるのですね。驚嘆しました。
ドビュッシーは、ひらめき、洒脱、サンソン・フランソワや一番よかった時期のベロフのような、心を動かされる即興的な名演でした。フランクは、あのデムス盤でもよさがわからなかった曲ですが、圧倒的な構成力・構想力で、はじめてこの曲が細部まで丁寧に創り上げられた名曲なのだということが、わかりました。
アンコールは、トルコ行進曲と、そして、最晩年のピュイグ=ロジェの名録音を彷彿とさせる月の光でした。
- アーティスト: レーゼル(ペーター),シューマン,ゲヴァントハウス弦楽四重奏団,ケヴァントハウス弦楽四重奏団
- 出版社/メーカー: King Records =music=
- 発売日: 2010/10/06
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- アーティスト: レーゼル(ペーター),ベートーヴェン,フロール(クラウス・ペーター),ベルリン交響楽団
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東京は豊かな場所だなと思います。
憧れのレーゼルを、電車一本で聴きに行ける。願ったことがどんどんかなっていく場所。きっと、そのうち、自分が何を願っているのか、わからなくなってしまうのだろうなと、そんな風に思いました。
感動と哀しみが一緒くたになったような帰り路でした。
- アーティスト: ピュイグ=ロジェ(アンリエット),フォーレ,ドビュッシー
- 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックレコーズ
- 発売日: 1997/06/21
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- アーティスト: ベロフ(ミシェル),ドビュッシー,ペロフ(ミシェル)
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