どこかに理想郷があるわけじゃないんだ・・・

6月は本当に学校がしんどい。

ぼくが入っている学校でも、しんどい教室はいくらもあるし、それに伴って息切れしている先生もたくさんいます。日本中で普通です。

ここまで十分に頑張りきった先生、もう息が継げない先生は、休んでほしい(それを口に出すこともできない先生もいることも知っていますが)と切に願います。

一方で若い先生を中心として、これまでの学校のしきたりや伝統、ルールに大きな怒りを感じたり、反発したりしている人もいます。変わらない学校や制度に苛立ち、怒りを抑えられない先生もいます。ぼくの周りには学校を巡る様々な構造自体を変えたいと願う若者は結構たくさんいますから、そういう状況に陥っている先生が10名も20名もいます。つらいんだろうなあ、と思います。

そうした方々の、これも結構たくさんの人たちが新しい学びの場を作りたいと言います。そういう動き自体はいいなあと思います。

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でも久しぶりにおじさんの説教じみた話をしますと・・・。

このところ耳目を集めている開明的な学校や先進的な取り組みの中核にいる人たちの大半は、これまでにもまさに公教育のど真ん中で呻吟し逡巡し懊悩しながら結果の事実を積み上げてきた人がほとんどです。

同僚に腹を立て感情をぶつけ(ぼくもそういう時もありましたよ、ほんと・・・)、公教育の現場で同僚とたくさんぶつかってたくさん敵を作り、これまでの伝統的なやり方を必死にやりつないでいる人を見下げて批判を繰り返して、そうしたステージで成功している事例を知りません。また多くの本物のイノベーターたちは、学校を大切にし地域を大切にし、その上で学校の内外で様々な人たちと繋がり、それを自分の現場に子どもたちに、つなぎ合わせる苦労をされてきた方が大半です。

ぼくは、だから努力しなさいと言っているのではありませんよ 笑

ただ、そうしたちょっと立ち止まればわかるような全体像さえ想い描けない状況で、新しい学びの場づくりなんてきっと難しいよ、と言っているのです。

もちろんそういうぼくの老爺心を軽々と乗り越えていくイノベーターの登場もあるかも知れないし、あったらいいなあと思っていますけれど。

まだまだ気力も体力もある自称イノベーターのみなさん、まず自分の授業を自分の教室を子どもたちと一緒に本当に突き詰めて変えてみましょうよと、言いたい。誰かのせいやシステムのせいではなく、あなた自身ができること、もっともっとたくさんありませんか?

「理想郷」(と見えるものに)乗っかろうとするのは、多くの場合、ここの不満をそこにずらして持ち込むことにしかならないでしょう。それに仮に「理想郷」なるものがあったとしても、それはここと地続きのどこかにしかありません。ドローンでしか行けない場所とかではなく、自分の足で進んでいくその先にしかありません。