観たもの、感じたこと

秋から、少しずつアートを自分の中に出し入れし直していった。

順番ぐちゃぐちゃ。

大阪交響楽団 奈良100年会館。

ベートーヴェン 。最小限の編成。三ツ橋敬子さんの指揮は軽快。レオノーレ序曲第3番も良かった。交響曲第5番「運命」、交響曲第6番「田園」。気持ちの良い演奏。でも隣が化粧くさい。その隣は全部寝ている。そして、会場が、昔の旭川の市民文化会館大ホールを思い出すほどのデッドな響きでした。

 

バンクシー展。大阪南港。
ぼくはバンクシーって空間展示なんだと思っている。出来るだけ展示のシチュエーションが伝わるように腐心してくださっているのだが、野ざらしになり、何者かが破壊したり棄損したり持ち逃げしたりすること自体がアートの一部であることは、室内・箱物の展示会場では、伝わりにくいよね。

 

あべ弘士原画展どうぶつえん物語。こども富貴堂

あべさんが丁寧に創った絵本の原画は、とってもいい。動物たちがみーんな元気そうだ。

 

大学生2020作品展。中原悌二郎記念旭川市彫刻美術館ステーションギャラリー。
教育大旭川校の学生の卒業制作なのかな。舌を巻くぐらいうまい。技術の向上は圧倒的で、美術を志すものならば、誰もがそれなりのレベルで描けてしまう時代なんだとも思う・・・で、そこからだ、そこからはなんだろう・・・。


新日本フィル「第九」すみだトリフォニーホール
広上さんの指揮。
感動した。二期会合唱団、エスプレッシーヴォの16人。こういう合唱もあるんだな。心が揺さぶられたよ。オケも大熱演だった。良かったよ。

 

ただやるだけ。good morning N°5。シアタ−711
演劇人の圧倒的なクオリティによるバカ騒ぎに、心底感動した。中村中の歌がまた、無用にすごい。アートは無駄だ、芸術は後回しだ・・・そういう風潮への、徹底した意趣返しにもなっていたと思いましたよ。こういうの好き。

 

琉球孤の写真展&石元泰博写真展.ー生命体としての都市。東京都写真美術館
ある意味では両極端な二つの作品群を同じ館内の各階に配置して、そこをぼくら参観者は行き来する。それは同時代に撮られた写真であったりもする。

 

東京ユニバーサルフィル。定期。大田区民ホール・アプリコ大ホール
松岡 究さん指揮。印田千裕さん(ヴァイオリン)、印田陽介さん(チェロ)。
弟のハイドンチェロ協奏曲1番も溌剌として良かったが、姉千裕さんのベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲が情感豊かな熱演だった。ユニフィル。若々しくていい。以前瀬戸フィルでみた松岡さんが常任だが、指揮はとても明快だ。

 

牛田智大Kitara
バッハのイタリア協奏曲とショパン。なかなか良かった。特にイタリア協奏曲とショパンの2番ソナタ。まだ21歳なのか。時々、中年から老境に差し掛かった男のピアノのようにも聞こえる。

 

名古屋フィル第483回定期。広上さん。荒井英治さん(ヴァイオリン)。
シチェドリンベートーヴェンのハイリゲンシュタットの遺書-管弦楽のための交響的断章


ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第2番嬰ハ短調 作品129
ショスタコーヴィチ交響曲第9番変ホ長調 作品70
シチェドリンはさっぱりわからなかったが、ショスタコは素晴らしかった。さすがモルゴーアの荒井さん。切れ味抜群でした。9番もいい曲だね。これでショスタコは1、5、6、7、9、10 、11 、12 、15 と実演に接したことになります。死ぬまでに残りも聴けるかなあ。

 

最果タヒ展。渋谷パルコ。
決して広くはない空間を上手に活用する吊り下げメインのインスタレーション。これはぼくが文化祭でやっていた教室展示と手法は同じだよな。最果タヒの言葉は、ぼくには、後一歩のところでいつも届いてこない感じがする。それは無論タヒさんの問題ではないな。会場には、青白い顔をしてゆらゆらした若い女性がたくさん。コロナ下で、最果タヒさんの言葉に命を繋いでもらっている人が確かにいるのだと思う。

 

箱庭円舞曲「今はやることじゃない」。駅前劇場
少し期待外れ。でも復活はうれしい。ラーメン屋という「箱庭」が舞台だが、どうにも「円舞曲にはならない」感じ。白勢さんは素晴らし。コロナは陰惨が剥き出しになる機会だと思う。そもそもある意味微温的な会話劇アプローチを得意とする古川さんのお芝居は、少し状況とミスマッチなのかな。それにいつになく急いだ後半の設定のバタバタ。時空を行き来する仕掛けもやや入り組みすぎて追い難く、ラストにもあまり感心できなかった…。とは言え、古川さんの、箱庭円舞曲の、お芝居だった。脚本ゆっくり読もう。

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