アートを旅する 2021年7月(安西水丸、恐竜ショウ、生命の不思議な世界、いとみち、PMF、夏N響室内合奏団 追記)

安西水丸ポスター展」世田谷生活工房ギャラリー。

世田谷文学館で行われている本展のスピンオフ展。無料。最終日に滑り込む。小さな展示スペースだが、ポスターという、広告・CMとの関係の深い形態で、彼の作品を並べると、より、あの時代に安西がどのように受け入れられたのか、その空気が如実に伝わってくる。やっぱりこっちなんだろうな、と思います。世田谷文学館の本展はいつ見ようかな。

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プラネタリウム「生命の不思議な世界」(なよろ市立天文台きたすばる)。

なんだかぼんやりしていて、これといった印象の湧かない作品だったが、でも、プラネタリウムは格別に気持ちのいいところだ。4回くらい寝たらしい。客は二人だけだったから、問題なしだ。プラネタリウムという場を、映像アート表現の場とリフレーミングした人たちが作品を次々と生み出してきた昨今の流れは、とても嬉しいことだ。そもそも名寄市には映画館はないのである。

リアル恐竜ショウ 恐竜パーク(旭川市民文化会館大ホール)

これは苦しかった。おそらく元々は様々なアクティビティが行われるショウなのだろうと思うが、コロナで接触できない状況では、アクターの演技力とおしゃべりに頼るしかなく、でもそれには限界があり・・・。陳腐な音響付きパペットショウに付き合わされている感じだった。運営の方々のことを色々と思ってしまった。PMFオーケストラJAPAN札幌公演(札幌コンサートホールkitara

当初は苫小牧で開催予定で、聞けないものと諦めていたので、嬉しかった。しかも改修後初めてのkitara.オケは、今年は修了生主体のオケで素晴らしい反応。レベルが高い。原田慶太楼さんの指揮は、奏者を刺激していくようなタイプ。またアメリカ仕込みのエンターテイメントで、今回の楽曲群はもうマッチングが素晴らしかった。ガーシュインのピアノ協奏曲。ピアノの三舩優子さんはぼくの中では小品のピアニストというイメージで、音量の不足はやはり少し気になったが、健闘。アンコールにアイ・ガット・リズムを二回。それにしても素晴らしいコンサートだったのだが、客の入りはひどい。コロナ対応で座席を減らしているのかと思ったが、隣の客(内情に詳しそうだった)に聴くと、チケットが全然売れなかったのだ、と。こうした催し物・展覧会・研修会・・・ものすごい自粛風が吹き荒れている。回復はコロナ後も厳しいだろう。

映画「いとみち」(テアトロ梅田)

横浜聡子監督作品は、大好きで、ほぼ毎作観ている。こんな脚本もこんな撮り方もする人なのか! 音楽に人間椅子紋別で若い時にコンサートを見たのを思い出した。
ふすまを両開きに開け、玄関を両開きにし、内と外とを行き来する、玄関の扉を両開きにして父娘を外へ追い出していく祖母は、過去と未来を行き来させる・・・巫女(シャーマン)のようでもある。寺山の「田園に死す」へのオマージュか。

それにしても、たまらなく美しい場面がいっぱいでした。

駒井蓮さん、今この時しかない輝きに満ちていた。大女優になるのでは、と思う。津軽三味線を弾く場面は圧巻だった。

フェスタサマーミューザ・N響室内合奏団。篠崎史紀さん素晴らしいなあとしみじみ思う。前半のシュトラウスはまあ楽しく。後半のマーラー交響曲第四番の室内楽版(K.ジモン編)は、うーん精度の高いアンサンブルと、儚げなソプラノ(盛田麻央さん)を楽しめたが、やっぱり室内楽で聴く良さがよくわからない感じでもあり。客席は3分の1くらいか。それよりも川崎の人の多さに恐怖を感じた。