アートを旅する 2021年9月上旬

東京藝術大学奏楽堂モーニングコンサート2021年度第10回

澤和樹さんの指揮。学部からはバストロンボーンの大関一成さんとチェロの牟田口遥香さん。お二人とも晴れ舞台での力演。藝大フィルハーモニアは本当にうまい。また、定期的にこうして学生の作曲作品や演奏をサポートする使命が、このオケの演奏の熱を生み出しているんだなと思う。ドヴォルザークのチェロ協奏曲は何度も聴いているが、ダヴィッド(西下航平編曲)のコンチェルティーノは初めて聴いた。滅多に聞けない独奏楽器で滅多に聴けない曲が聴けるのは、ありがたい。会場はほぼ満席。学生がいっぱい。1000円で聴けるとはなんと幸せなことだろう。コンマス澤亜樹さん、素敵でした。

17歳の瞳に映る世界

アルテリオシネマ。

ひどい邦題。最近映画の邦題は少しマシになったと思っていたのだが、この邦題は、見終わって、ひどいものだと思った。原題は、”Never Rarely Sometimes Always".

作品はもう、圧巻だった。わずか二時間弱の尺の作品なのに、もうどうしようもないほど長く感じる映画だった。それは長く感じられてつまらないということではなく、二人の少女たちが過ごすその長い長い夜を世界に潜り込んでいくように、観るぼくも体感してしまうからだ、早く夜が明けないかな、と。ニューヨークの町を見る二人の瞳が、絶望の淵にいるのに眩しい。かつて見た「パリ空港の人々」のバスのシーンを、そして、自分が同様の問題を抱えて、若い日に初めて札幌行きの高速バスに乗った時の、車窓を、初めて一人で歩いた地下街を、思い出した。動けなくなってしまいそうだった。本当にわずかしかないセリフ、最後まで、圧巻のロードムービー

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