アートを旅する(2022年6月)

フェルメールと17世紀オランダ絵画展&羽生輝展(北海道立近代美術館

ぼくも絵が描けたらなあ。たった一枚展示されていたフェルメールの絵はたしかに素晴らしかった。でも同時開催の静かな会場で見た羽生輝に心を鷲掴みされる。焦点の合わせようがない(と思える)景色を描くってどういうことだろう。羽生は定年までを中学校と高校の教師として仕事を全うした人。驚異的だ。

ドライブインカリフォルニア(本多劇場

 タイトな日程の中だったが、見に行ってよかった。悲劇こそが魂を洗う。河合優実が素晴らしい。もちろん阿部サダヲ麻生久美子の素晴らしさはもう。松尾スズキ脚本は思い出せないくらい久しぶりだ。素晴らしく上手に書かれている本には舌を巻く。芝居も飽きず楽しく観た。しかし、亡くなってしまった少年が語る構造で進められていく、いわばこの物語の構造自体がどうも苦手だ。そのファンタジーをなんとも受け入れられないのである。

・三浦一馬 バンドネオン・コンサート(名寄En-RAYホール)

共演の長富彩さんのピアノがちょっとびっくりするほどよかった。もちろん三浦さんのバンドネオンは良い。前半全部ガーシュイン、後半全部ピアソラ。とても得した気持ちになった。バンドネオンとはほんとすごい楽器。常人の技とは思われぬ。