ちょんせいこさんとの共著『対話で学びを深める 国語ファシリテーション』が刊行されます。

『対話で学びを深める 国語ファシリテーション』(フォーラムA)

4年半かかってしまいました。編集者には本当に言葉では言い尽くせぬ力添えをいただきました。関連するセミナーも二人で行っていきます。今のところ今週末大阪と東京で開催の予定です(ぼくのブログなどで確認してください)。

刊行に時間がかかった事情は様々です。要するにそれだけの時間を必要とし、それでもこれだけしか書けなかったということになります。

ぼく自身が言語化できない自分の授業。それをせいこさんに、ファシリテーションの文脈で、多くの人に届くように通訳をしてもらうというのが、そもそものぼくの願いでした。後は皆さんに読んでいただいて、よき点も不備も不足も指摘していただくしかありません。

 

~はじめに~
「主体的・対話的で深い学び」を目指すチャレンジが始まって数年が経ちました。
これまで日本の学校教育は教師主導で先生が知識や情報を伝える説明中心のスタイルで進められてきましたが、そうしたこれまでの授業の見直しの必要性が、新しい学習指導要領に示されました。そして、その具現化を目指した現在の国語科の教科書をパラパラとめくってみると「付箋に意見を書いて整理して交流しよう」「グループで話し合って決めよう」のような、ボトムアップで進むアクティブ・ラーニング型の学習スタイルが推進されています。今は先生の説明中心の授業から活動中心の授業へ試行錯誤の時期、いわば過渡期にあたります。これまで蓄えられてきた知見と、これから進められていく授業を運用していくための新しい技とがハイブリッドされていくことが必要です。
授業がどのように変化しようとも、教室の主役は子どもたち。
学習者中心の授業を円滑に進めるためには、ファシリテーション技術が有効です。
教室というコミュニティの中で、「言葉の力」を身につけて、将来に渡って、個々の力を存分に発揮しながら他者と協同して歩む力を身につける。そう考えると、国語科の授業を効果的に進めるには、学習者である子どもたち自身が、日々の授業において、ファシリテーターであるのが合理的と言えるでしょう。先生の姿をモデルとして子どもたちは国語科におけるファシリテーションを学んでいきます。
この本では、長年、国語科教育に携わってきた石川晋とファシリテーションの普及に取り組んできたちょんせいこが、これからの学校教育の要となる「主体的・対話的で深い学び」(アクティブ・ラーニング)を育む国語科の授業の進め方を、教科の本質と向き合いながら示していきます。特に石川が長年の国語科教育で取り組んできた授業実践から、今、教育現場に届けたいものを精選し、先生や子どもたちがファシリテーション技術を身につけることでより授業を楽しく学べる方法を紹介しています。紙幅の関係もあり、実践例は現場の多くの先生が困難を感じている読むこと領域を中心にまとめました。また、ICT活用の手がかりについては、スペシャルゲストの蓑手章吾さんとの鼎談の形で提案させていただきました。
本書は、先生としての経験年数が浅い「教師初学者」にも、わかりやすいものになるように努めて書いています。既知の内容も多いかもしれません。紹介する内容に紐づく文献なども注釈としてつけてここから先の学びに役立てられるようにしました。ぜひ、あたってください。

石川晋、ちょんせいこ