教師教育を考える会メールマガジン 2017年10月13日 33号

柴崎明さんに書いていただきました。

2017年10月13日。

33号。

 

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メールマガジン「教師教育を考える会」33号
        2017年10月13日発行
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 教員と教員志望者での学び合うコミュニティを目指して
~学校外での教員修行~
         神奈川県私立中高一貫校 教諭
                      柴崎 明
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 33号は、柴崎明さんです。英語教諭として卓越した力を現場で発揮しつつ、若手や教員志望の学生支援に早くから取り組んでこられた方です。         (石川 晋)
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 全国の先生方、こんにちは。柴崎明と申します。私立中高一貫校で英語を教えています。都内で現職教員と教員志望を集めたサークル「教員と教員志望のためのサークル Tサークル」の代表をしています。今日は教師教育の一環として、教師達自身がサークルを作り、学び、支え合っている場をご紹介したいと思います。
◎Tサークルのはじまり◎
『全国の学校の先生を元気にしたい』
2008年3月に、現職教員1名(筆者)と教員志望者2名の合計3名で始めた小さなサークル、それがTサークルでした。
きっかけは1人の小学校教員の自殺でした。理想を抱いて教育現場に入ったのに、現実とのギャップに誰にも相談できず一人で問題を抱えていた新任の教師は、保護者会の前日に学校で自殺しました。その先生と直接の知り合いではありませんでしたが、他人事のようにどうしても思えませんでした。精神疾患により休職を余儀なくされた多くの先生方や相次ぐ若手の先生方の悲しい報せに接するとき、私もいつか同じ道を辿るのかもしれないと思うと、いてもたってもいられませんでした。
職員室ではない、どこか違う場所で、違う学校の先生方や教員を志望する仲間がつながる第3の場があれば、元気な先生方が少しづつでも増え、学校全体の雰囲気が柔らかく、明るくなるのではないか。そのような志でサークルをスタートさせました。
当初3人で始めたサークルのルールはただ一つ。必ず月1回の活動をすること、でした。どんなに人が集まらなくても、月1回の活動を大切にすることでサークルの文化ができあがると思っていたからです。初期メンバーの尽力により、9年経った今でも月1回の活動が守られ、さらには運営スタッフとして8名の現職教員、参加者として毎月約30名が参加するサークルとなりました。現在も毎回のように新しい参加者の方が来てくださり、共に学んでいます。参加者としては中高の現職教員、小学校の現職教員が多く、教員志望者の参加は1割程度です。
◎Tサークルの活動について◎
Tサークルは毎月一回、以下3つの活動目標に沿って活動をしています。
あ)つながりのある居場所を創る
Tサークルには様々な人が集まっています。メンバー一人ひとりはサークルの財産です。名前を知り、背景を知り、お互いを大切にしあう学びのコミュニティにしたいと考えています。
い)教職における専門性・実践力をつける
Tサークルは創設以来、教員と教員志望者の参加に限定し、専門性と実践力を磨いてきました。今年度は特に新学習指導要領の改訂前年度に当たるため、理論と実践のバランスをとり、皆で学び、情報を共有する場としてサークルを活用できるように運営しています。
う)教員としての目標(ロールモデル、哲学)を見つける
皆さんは何を大切に【教員】として生きたいですか。 と問われた時、胸を張って答えられる教員でいたいと考えています。この時に答える教員像こそ、哲学であると思います。ブレのない教員としての哲学を持つことと、憧れのロールモデルとしての教員を具体的に持ち、教員として生きる土台形成ができる場にしたいと考えています。
 以上の活動目標をもとに、以下のような活動をしてきました。
◎勉強会◎
学級経営、生徒指導や学習指導等における理論、実践を学ぶために企画しています。新指導要領を読んだり、カウンセリング実習、株式会社Loilonoteと連携してICT教育の一端を体験するなど有意義で実践的な活動をしています。2015年7月には終戦70年記念として広島で被爆された方を実際にお招きしてお話を伺う会もしました。
◎模擬授業研究会(もぎけん)◎
普段の授業を公開するということを目指して、模擬授業を行なっています。教科ごとに教材を同じにして授業づくりを学んだり、アクティブラーニング型授業という一つのテーマに絞って色んな教科の先生に授業をしていただいたりなどお互いがお互いから学ぶ研究会を実施しています。
◎講演会◎
教師としてのロールモデルを見つけることを目指して、定期的に講師をお招きしてお話をお伺いしています。工学院中高教頭で2015年度グローバルティーチャー賞にノミネートされた高橋和也先生をはじめ、コーチングで知られる横浜市の小学校教諭、山田将由先生や自治的集団づくりで知られる横浜市小学校教諭、松下崇先生にお話をしていただきました。今後も数多くの先生方にご登壇いただきたいと思っています。
 それぞれの会が有機的につながり、現場の教員が元気になる第3の場として、これからもTサークルが長く先生方の居場所となるように頑張ります。
◎連絡先◎
Tサークル Twitter @tcircle_teacher
Tサークル メールアドレス t-circle@hotmail.co.jp
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 若手中堅の先生方が広げていく新しい学びの場、そしてそこにある新しい学び方に、興味があります。柴崎さんのサークルが、「ロールモデルを持つこと」を大切にしているというあたりも、大変興味深いです。サークルの位置づけも、非常に多岐にわたる活動の内容も、これまでの様々な民間教育研修会のエッセンスと新しい世代の感覚との融合が感じられておもしろいです。また、「第3の場」を持つという越境的な発想にも惹かれます。
 そういえば、私もしばらく柴崎さんにお会いしていません。折を見て、参加してみたいなと思います。
 次号は、10月17日金曜日。武田緑さん(一般社団法人 コアプラス代表理事)です。まもなく、東京と大阪で、大きな教育イベント(エデュコレ)の開催を予定している若手の教育系活動家、です。エデュコレは、
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メールマガジン「教師教育を考える会」
33号(読者数2547)2017年10月13日発行
編集長:石川晋(zvn06113@nifty.com)
まぐまぐ:教師教育を考える会)
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