アートを旅する 2022年3月下旬

東京芸術大学奏楽堂モーニングコンサート2021年度第13回(東京芸術大学奏楽堂)
山下一史、藝大フィルハーモニア管弦楽団、守屋紗弥、城野聖良
来年はぼくの働き方の関係で聴きにくることが出来なさそうな、モーニングコンサート。
今回はフンメルのトランペット協奏曲ホ長調プロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第一番ニ長調
守屋さんは温かい音のトランペット。こういうのもいいなあと思う反面、やっぱりトランペットって楽器は高らかに響き渡るものであってほしい、音圧が欲しい、とも思う。それにしてもトランペットの独奏協奏曲って古典派以前ばかりにレパートリーがあるんだな・・。城野さんのヴァイオリンはやや繊細ながら音量もまずまず。この曲ディスクではよくわからなかったが、さまざまな音がたくさん。工夫に満ち楽想に満ち。とても良い曲と初めて思う。

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https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=2129 より

○特別展空也上人と六波羅蜜寺東京国立博物館本館特別5室)
空也上人立像は、康勝作。鎌倉時代密教僧侶をよく観察して再現してものだろう、と。しかし、もうこの奇想天外度、口から出る僧侶6名で南無阿弥陀仏を表すというオタク的着想。もう腰が抜けそうなほどの像である。六波羅蜜寺の仏像に触れたのは30年ぶりくらいだろうか。ぼくはその時空也像も見たのだろうか。何も覚えていない。ぼくにはまだいろんなことの面白さがわかっていなかったのだろう。後30年生きるのは苦しそうだが、さらに30年生きたなら、またさらに初めて視野に入ってくるものがあるのだろうか。

○絵本作家長谷川集平の仕事展 絵本デビュー46年のキープ・オン・ロッキン!(姫路文学館)
素晴らしい展示だった。単なる時系列の配置ではない資料の見せ方切り取り方。まさにキュレーターの力量。長谷川さんの未発表作品の凄みも感じ。この日は抽選で当たった(高倍率だった)クンサン復活のコンサートもあり(ソーシャルディスタンスって曲はもう痺れてしまった)同時代に長谷川さんがいてよかったと思える時間だった。会場にはスズキコージさん、村中李衣さんの顔も。

○日本オペラプロジェクト2022 歌劇「夕鶴」(兵庫県立芸術文化センター阪急中ホール)
粟辻聡、ザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団。夙川エンジェルコール。
つうを演じた石橋栄実の声の表現力を堪能。初めてのカレッジオペラオケはオケの技量は今回だけでは分かりにくいが好演。夙川エンジェルコールが素晴らしかった。この曲は児童合唱がとても重要なんだな。團伊玖磨の曲はこうして聴くと日本語をことばとして聞かせるための旋律とヨーロッパの音楽話法とを止揚しようとする意欲に溢れた野心作だったのだなと思う。オペラ嫌いだが、この日本を代表するオペラは良い演奏で聴くことができて満足。プロジェクトが次回取り上げる作品は林光「森は生きている」!

緑黄色社会 actorツアー(旭川市民文化会館大ホール)
ほぼ満席。飛ぶ鳥を落とすバンドの勢いを存分に感じた。いきものがかりの光景バンドとなんとなく思っていたが、彼らが持っていた良い意味でのシロウトくささは全然ない、既に完成したテクニカルなプロフェッショナルバンドでもあって、ちょっと驚いてしまった。多賀一郎さんに教えていただいたバンド。ありがとうございました。