東京藝術大学奏楽堂。
前回行ったときに、超一級の演奏家でもスカスカなので、ここは同好の士の趣味クラブみたいな場所なんだろうと高を括っていましたら、8割近い客席の状況でした。
シューベルトの室内楽、大股でまたいでしまいたい楽曲群なのですが、チュマチェンコ先生のヴァイオリン、なんというのかなぁ、愛に満ちた語りでした。聞き入り説得されてしまうという感じ。
最後の五重奏曲は、もう、ロマン派初頭の音楽とは思えぬ深遠な、哲学的な、装い。ディスクで聴いた時には、晦渋という印象しか持てなかった曲なのですが、なんと豊かな楽想にあふれていることか、チュマチェンコのヴァイオリンに納得させられるという感じ。それはアンサンブルのメンバー、日本のトップ奏者なわけですが、彼らの中にも起こっていたことなんだろうなあと感じました。
東京って、すごいな。わずか1500円で、こんな演奏が聴ける。地方との格差は、どこまでも開くばかりか。
雪降る北海道のことを想いながら聴きました。