北海道からほとんど日帰りに近い強行日程になりました。
まだ電車に揺られていますが、とにかく終わりました。
20名弱の参加者のほとんどのみなさんが、下記の本を持ってきているというのはすごいことだと思います。
授業づくりネットワークNo.30―授業記録を読もう! 書こう! (授業づくりネットワーク No. 30)
- 作者: ネットワーク編集委員会
- 出版社/メーカー: 学事出版
- 発売日: 2018/08/03
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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午前中は、奥井さんのクラス会議実践を佐内さんがストップモーション授業記録スタイルで記録した授業記録を拠り所に、この日の授業を実際に見ながら参加者とストップモーションビデオ検討する企画。
奥井さんの凄みは、わかっていることと考えていること、わかっていないことと考えていないことを、クリアに語ることです。それと、大づかみにした後はまずやりながらブラッシュアップする。そのブラッシュアップの過程で、元実践の内包する仕掛けの意味に奥井さん自身が気が付いていく、というところです。
例えば、今日は奥井学級のクラス会議がトーキングスティックを使わないことについて会場でも議論になったわけです。で、使うのが当たり前だと思っているぼくに、奥井さんの実践の筋道の解説は、ガツーンと来ます。おもしろいのです。ただしその議論の過程でトーキングスティックという仕掛けがなぜあるのかということについて、より深く本人も僕らも理解することになっていく・・・これは、奥井さんと話したり奥井さんの授業を見たりするごとに感じることです。
それとともに、一斉授業を仕分けする研究手法のようだったストップモーション授業検討が、活動型の授業の研究の手法としてはどのようにリメイクされて機能していくのか、そういうことが、佐内さんという名ナビゲーターの存在によって、クリアになってきたことが、大きな収穫でした。
午後は伊藤敏雄さん。彼の最新刊から一部を、参加者で読書会し、その後伊藤さんがミニ講演。そして理事と伊藤さんで座談という流れです。ぼくは伊藤さんの実践群をちょっと誤読していたかも、と思いました。伊藤さんの仕事は、本来公教育がやらねばならない、できなければならない仕事の、丁寧な補完なんですね・・・。いくつかの指摘は実践レベルにおいて、あまりにも真っ当なものばかりで、でもそれを公教育が概ねできていないというのは、深刻です。
いや、東日本に居住拠点を置き、北海道を基本に、関東以北の学校に概ね入っていたこれまでのぼくには、こうした仕事の意義や価値は、本当のところ「イメージ」できていなかったと正直に告白しなくてはなりません。
たとえば下記の本の意義も、関西、四国、九州の学校に集中的に入る経験をさせていただくことで、初めてわかったと、恥ずかしながら、そういうことなのです。
ということで、伊藤さんの実践の意味や価値は、ぼくが考えていたよりも実に基本的で、また義侠心にも似た篤志的マインドに支えられて彼が積み上げてきた現場知の粋なんだなということがわかりました。
今回の読書会は、小さなテーマと、話し合いの仕掛けを作りました。これもそれなりに機能することがわかって収穫でした。
いつもながら、重厚な参加者と彼らが誘ってくださった若い先生によって構成された会になりました。小さな集まりだけれど、きっと大切な灯がまた増えたと思います。
最近、亡き母のことを思います。彼女が掲げた図書館運動、読書会活動は、小さな小さな実質の積み重ねの連続の中で、広がっていたものだったのだな、と。