「改めて、人が集まり、学ぶということの意味は」・・・『ポストコロナの学校を描く』に書きました

コロナと向き合う学校を描く一冊です。錚々たる執筆陣に混ざり、なぜかぼくも書きました。
「改めて、人が集まり、学ぶということの意味は」

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第1章 学校は何をするところか?

藤原和博 社会は「一律」から「個人」の時代へ
中原 淳 ポスト・コロナの働き方と学校
岩瀬直樹 ポスト・コロナの学校を描く
石川晋 改めて、人が集まり、学ぶということの意味は
西郷孝彦 「楽しい」学校をつくろう!

第2章 授業をどうする

平川理恵 授業の本質は「問い」である
秋田喜代美 授業はすべてこなさないといけないのか? 学習指導要領の捉え方
赤沢早人 カリキュラム・マネジメントで「教科書をこなす」発想を変える
石井英真 子どもたちの「学びを保障する」とはどういうことか
奈須正裕 個が自律的に学ぶ学習で三密を避ける
田村学 「コロナ」を探究する
溝上慎一 主体性に依存するオンライン学習――教育格差か、それとも個の多様性か
稲垣忠 対面授業と家庭学習のハイブリッドで学びの質を高める
平井聡一郎 オンライン授業を止めてはいけない理由
梶谷真司 生徒も教員も楽しい授業へ――哲学対話から得られる主体的学びのヒント

第3章 学校生活を変える

新保元康 「ゼロリスク」のリスク
木村泰子 今こそ学校をすべての子どもの居場所に
山本宏樹 コロナ禍の生徒指導のポイント――セキュリティとケアのジレンマのなかで

第4章 教職員・管理職が変わる

住田昌治 まず職員室を楽しい場に
妹尾昌俊 コロナ禍での反省を活かした学校の働き方
市川力 ジェネレーターとしての教師の「あり方」――ひとりの「おもしろがり屋」として生きる
小高美恵子 校長に必要な日頃からの備え
平川理恵 何もやらないことがリスクになる時代――管理職に求められる「覚悟」

ポスト・コロナの学校を描く

ポスト・コロナの学校を描く

  • 発売日: 2020/08/25
  • メディア: 単行本
 

 

2020年度7月末以降の予定(7/29更新)

2020年度の日程です。まあ、7月後半以降も大いに変更ありそうですが、一応。 

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【7月】

 

7月26日日曜日 仙台連続講座1/4「学級通信の書き方」「教室読み聞かせの基本」

7月27日月曜日 多摩市立小学校(可否検討中)

         国立連続講座3/12「90年代からの教育状況を民間研の動向から考える」

7月28日火曜日 横浜市立永田台小学校(オンライン研修)

7月29日水曜日    名古屋女子中高等学校

         名古屋連続講座1/5「コロナから見る学校」

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7月30日木曜日 岸和田市立大宮小学校研修会(オンライン研修)

7月31日金曜日 岸和田市立朝陽小学校(短縮で実施)

         大阪連続講座3/11「個別最適化の迷宮」

8月4日火曜日  三重県川越町立川越南小学校

8月8日土曜日  札幌公務員受験学院

         札幌連続講座3/6「国語授業づくりの基礎基本」

8月20日木曜日 大阪市立みどり小学校

8月21日金曜日 広島市立比治山小学校(午後)

8月22日土曜日 理事長訪問山口・防府

8月23日日曜日 理事長訪問広島

         新大阪連続講座4/11「対談 木脇嶺さんと」

8月24日月曜日 泉南市立一丘中学校(午前)

         大阪府松原市立松原東小学校(午後)

         尼崎連続講座2/5「国語授業づくりの基礎基本」

8月25日火曜日    名古屋市大須小学校(可否検討中)

         名古屋連続講座2/5「学級通信の書き方」

8月26日水曜日 平塚市立金田小学校(午後)

         横浜連続講座1/6「コロナと学校を、どう考えるか?」

8月27日木曜日 小平市立小平第五小学校

         国立連続講座4/12「SNSと教師・学校」

【9月】

9月3日木曜日  都内清瀬市清瀬第四中学校

          国立連続講座5/12「個別最適化の迷宮」

9月4日金曜日  小金井市小金井第三小学校

         大宮連続講座3/7「国語授業づくりの基礎基本」

9月7日月曜日       かえつ有明中高等学校

9月8日火曜日  仙台連続講座2/4「国語授業づくりの基礎基本」

9月9日水曜日  仙台・認知症介護研修指導者講習

9月10日木曜日 大阪府箕面市立第二中学校

9月11日金曜日 大阪府松原市立松原第四中学校

         大阪柏原連続講座2/5「国語授業づくりの基礎基本」

 

9月14日月曜日 江戸川区鹿骨東小学校

         市川連続講座2/4「国語授業づくりの基礎基本」

9月15日火曜日 多摩市立小学校

9月16日水曜日 都内練馬区立大泉南小学校

9月17日木曜日 大阪府門真市立二島小学校

        新大阪連続講座5/11「90年代からの教育状況を民間研の動向から考える

9月18日金曜日 大阪府高槻市立清水小学校

9月19日土曜日 広島授業づくり研究会合宿

9月20日日曜日 広島授業づくり研究会合宿

         岡山連続講座1/1「国語授業づくり・学級づくりの基礎基本」

9月21日月曜日 札幌連続講座4/6「教室づくりの基礎基本」

9月23日水曜日 東村山市立青葉小学校

9月24日木曜日 海老名市立海老名中学校

9月25日金曜日 横浜市立山田小学校

         国立連続講座6/12「働き方改革の陥穽」

9月26日土曜日 上越教育大学

9月27日日曜日 金沢連続講座1/2「国語授業づくりの基礎基本」

9月28日月曜日 江戸川区鹿骨東小学校

9月29日火曜日 江戸川区立大杉東小学校

9月30日水曜日 八王子市立元木小学校

         甲府連続講座1/3「教室読み聞かせの基本」

【10月】

10月1日木曜日 都内清瀬市清瀬第四中学校

10月2日金曜日 川崎市立下小田中小学校

         大宮連続講座4/7「教室読み聞かせの基本」

10月4日日曜日 水戸連続講座2/3「国語授業づくりの基礎基本」

10月5日月曜日 国分寺市立第四小学校

10月6日火曜日 豊島区立西巣鴨中学校

10月7日水曜日 大阪市立豊里南小学校

         尼崎連続講座3/5「教室づくりの基礎基本」

10月8日木曜日 大阪府松原市天美西小学校

         大阪柏原連続講座3/5「教室づくりの基礎基本」

10月9日金曜日 大阪府羽曳野市立駒ヶ谷小学校

         新大阪連続講座6/11「対談 井谷信彦さんと」

10月12日月曜日名古屋女子中学高等学校

10月13日火曜日江戸川区立大杉東小学校

10月14日水曜日横浜連続講座2/5「教室づくりの基礎基本」

10月15日木曜日桐朋学園小学校

10月16日金曜日徳島県徳島市立新町小学校

         徳島連続講座2/3「教室づくりの基礎基本」

10月17日土曜日理事長訪問徳島

10月19日月曜日名寄連続講座2/4「教室づくりの基礎基本」

10月21日水曜日多摩市立大松台小学校

10月22日木曜日小金井市立小金井第三小学校

10月23日金曜日北海道広尾町立広尾小学校

         理事長訪問広尾

10月24日土曜日理事長訪問帯広

10月26日月曜日小金井市立前原小学校

10月27日火曜日江戸川区鹿骨東小学校

         国立連続講座7/12「学校に人を呼び続けるということ」

10月28日水曜日横浜市立山田小学校

10月29日木曜日小金井市立緑中学校

【11月】

11月2日月曜日 多摩市立小学校

         国立連続講座8/12「学級崩壊」

11月4日水曜日 都内練馬区立大泉南小学校

11月5日木曜日 小平市小平第五小学校

11月6日金曜日 大阪府松原市立松原東小学校 

11月10日火曜日大阪市立みどり小学校 

11月11日水曜日大阪府岸和田市立朝陽小学校

         大阪連続講座7/11「もう一度、わたしたちの『撮る教室』の話をしよう

11月12日木曜日大阪府岸和田市立大宮小学校

11月13日金曜日大阪府岸和田市立浜小学校

11月14日土曜日教育と国語を考える会(多賀一郎さんと一緒に)

11月15日日曜日理事長訪問南紀太地

11月16日月曜日江戸川区鹿骨東小学校

         市川連続講座3/4「教室づくりの基礎基本」

11月17日火曜日茨城県小学校交渉中

11月18日水曜日かえつ有明中高等学校

11月19日木曜日江戸川区立大杉東小学校       

11月20日金曜日横浜市立幸ヶ谷小学校

11月21日土曜日理事長鹿児島

11月22日日曜日防府連続講座1/1「国語授業づくり・学級づくりの基礎基本」    

11月23日月曜日京都女子大学

11月24日火曜日高槻市立清水小学校

11月25日水曜日門真市立二島小学校

11月26日木曜日岐阜県岐阜市立中学校

         名古屋連続講座5/7「国語授業づくりの基礎基本」

11月27日金曜日横浜市立山田小学校

【12月】

12月1日火曜日 仙台連続講座3/4「教室づくりの基礎基本」

12月2日水曜日 仙台・認知症介護研修指導者講習

12月3日木曜日 大阪私立四條畷学園小学校

         尼崎連続講座4/5「全国の教室を周りながら考えていること」 

12月4日金曜日 新大阪連続講座8/11「対談 吉永かおりさんと」

12月6日日曜日 伊豆大島連続講座2/2「全国の学校を回って考えていること」

12月7日月曜日 大島町立さくら小学校

12月8日火曜日 多摩市立大松台小学校

         甲府連続講座2/3「授業づくりの基礎基本」

12月9日水曜日 小金井市立前原小学校

         横浜連続講座3/5「自分の実践をリフレクションする方法」

12月10日木曜日江戸川区鹿骨東小学校

         市川連続講座4/4「全国の教室を周りながら考えていること」

12月11日金曜日神奈川県海老名市立海老名中学校

         大宮連続講座5/7「もう一度、わたしたちの『撮る教室』の話をしよう

12月15日火曜日札幌連続講座5/6「自分の実践をリフレクションする方法」

12月16日水曜日都内武蔵村山市立雷塚小学校

12月17日木曜日高槻市立清水小学校

         大阪柏原連続講座4/5「自分の実践をリフクレションする方法」

12月18日金曜日空き

         国立連続講座9/12「もう一度、わたしたちの『撮る教室』の話をしよう

12月19日土曜日授業づくりネットワーク郡山

12月23日水曜日練馬区立大泉南小学校

12月27日日曜日名寄連続講座3/5「自分の実践をリフレクションする方法」

【1月】

1月6日水曜日  空き

1月7日木曜日  空き

1月8日金曜日  空き

1月9日土曜日  札幌学院大学

1月13日水曜日 東京家政学院大学

1月14日木曜日 名古屋市大須小学校

         名古屋連続講座4/5「全国の教室を見ながら考えていること」

1月15日金曜日 大阪府松原市立松原東小学校

1月16日土曜日 都内武蔵村山市立雷塚小学校

         大宮連続講座6/7「校内研修をどうつくるか」

1月17日日曜日 甲府連続講座3/3「自分の実践を高めるポイント」

1月19日火曜日 江戸川区立大杉東小学校

1月20日水曜日 八王子市立元木小学校

         国立連続講座10/12「リフレクションという病」

1月21日木曜日 都内小金井市立緑中学校

1月27日水曜日 大阪府岸和田市立朝陽小学校

1月28日木曜日 大阪府岸和田市立浜小学校

1月29日金曜日 大阪府岸和田市立大宮小学校

         新大阪連続講座7/11「全国の教室を見ながら考えていること」

1月30日土曜日 教室音読指導を究める会in神戸元町

【2月】

2月3日水曜日  海老名市立海老名中学校

         横浜連続講座4/5「教室読み聞かせの基本」

2月4日木曜日  大阪府松原市天美西小学校

         大阪柏原連続講座5/5「教室読み聞かせの基本」

2月5日金曜日  大阪府門真市立二島小学校

         尼崎連続講座5/5「学校とゆるやかに伴走するということ」

2月8日月曜日  空き(北海道)

2月9日火曜日  北海道・江別市大麻東小学校

2月10日水曜日 川崎市立下小田中小学校

         国立連続講座11/12「全国の教室を見ながら考えていること」

2月12日金曜日 小金井市立小金井第三小学校

2月13日土曜日 札幌連続講座6/6「学校とゆるやかに伴走するということ」

2月17日水曜日 徳島県徳島市立新町小学校

         徳島連続講座3/3「全国の学校を周りながら考えていること」

2月18日木曜日 四條畷学園小学校

2月19日金曜日 羽曳野市立駒ヶ谷小学校

         新大阪連続講座10 /11「コロナの一年をリフレクションする」

2月22日月曜日 多摩市立小学校

2月23日火・祝 水戸連続講座3/3「全国の教室を周りながら考えていること」

2月24日水曜日 小金井市立前原小学校

2月25日木曜日 北海道小学校

2月26日金曜日 岐阜県岐阜市立中学校

          名古屋連続講座5/5「学校とゆるやかに伴走するということ」

【3月】

3月3日水曜日  横浜連続講座5/5「学校とゆるやかに伴走するということ」

3月4日木曜日  桐朋学園小学校

3月5日金曜日  小金井市立小金井第三小学校

3月8日月曜日  仙台連続講座4/4「学校とゆるやかに伴走するということ」

3月9日火曜日  清瀬市清瀬第四中学校

3月10日水曜日 多摩市立小学校

3月11日木曜日 国分寺市立第四小学校

3月12日金曜日 大宮連続講座6/6「1on1オンライン対話で考えていること」

3月19日金曜日 国立連続講座12/12「ひたすら質問に応えます」

3月21日日曜日 新大阪連続講座11/11「対談 武田緑さん、松永悟郎さんと」

3月27日土曜日 名寄連続講座4/4「学校とゆるやかに伴走するということ」

 

掲載予定だった幻の原稿を公開します・・・授業づくりネットワークNo.36(通巻344号)―学級崩壊を問う!

授業づくりネットワークNo.36(通巻344号)「学級崩壊を問う!」

出来ました。毎号渾身の内容に仕上がっていると自負しています。今号はライター陣を見れば、ご存知の方々には驚きの方々の執筆とおもいます。またそれだけみなさんの危機感が本物だということでもありましょう。

学級崩壊に直面したサバイバーの方にナラティブな原稿を書いていただいたものもあり、そちらが「どう記録するか」にこだわってきたぼくらの真骨頂でもあります。

学級崩壊は、当事者がその学級を建て直すのは無理でしょう。ですが、いずれにしてもその後、自身がサバイブできる場合は、崩壊の瞬間・プロセスを克明に記憶・記録できている人だけだという仮説を持っています。そうでない人は、たまたまうまくいくことがあっても、別な機会にまた崩壊する。ぼくは、そう考えています。

このサバイバー部分の原稿は、プロジェクトを組み、何度も書き直しをお願いし、本当に申し訳ないなあと思いながら、妥協せずに作りました。ぼく自身がサバイバーです。そこで、今回は、ぼく自身の経験を元にモデル原稿を書いて、みなさんにお示しして執筆いただきました。紙幅の都合で、ぼくのモデル原稿は本誌に掲載することなく終わりました。

こちらに紹介します。どうぞみなさん、最新号をお読みください。重厚です。読みにくいでしょうけれど、キラキラした話題の方ではない、学校・授業の今を考えるための先頭を走る一冊になりました。

 

学級崩壊の瞬間を記録する   石川晋


一 新卒2年目での崩壊体験
 私は、新卒2年目に初めて学級を担任した。生徒数十六名、中学校一年生である。海辺の小さな中学校だったが、学校は赴任時から大変な荒れの中にあり、私はもとよりベテランの先生方の授業の成立も覚束ない状況であった。
 2年目で担任をすることになったこの学級は一学期の6月で手に負えない崩壊の状況になった。もう自分ではどうにもできないなと感じたのは、六月最後の日の学級日誌「一日の感想」の欄に、Mさんが「お前なんて、先生とは思わないからな」と、凶暴な文字で一言だけ書いたのを見た瞬間ということになる。
 学級が崩れてしまうまでの三ヶ月間には、生徒の言動の中に、たくさんの「きざし」があった。しかし、学級がどの時点で崩壊したかということを当時の記録を振り返りつつ考えると、この瞬間であると、はっきりと断定できると考えている。

二 家の前の落書き
 当時私が住んでいた家は、学校のすぐ前にあった。そして玄関の前は、広くアスファルトで固められていた。駐車スペースである。車を三台ほど横に並べられるほど広い。
ゴールデンウィーク明けの夕方である。帰宅すると、この駐車スペースの路面に、石を使って、大きな落書きが書かれていた。たわいもない内容である。キャラクターの絵が描いてあり、吹き出しで「こんにちは」とか「バイバイ」とか、書いてある。
 それは私への親愛の表現でもあるのだろう。が、既に学級の中がガタガタし始めている中で、当時の私にはその小さなメッセージを微笑ましく楽しむ余裕が全く残っていなかった。こんなことは社会的に全く認められないことだ、と腹を立てた。

三 学級崩壊の瞬間
 翌朝、学校に着いてすぐ、早めに登校していた男子生徒Dくんに尋ねた。学級の女子生徒OさんとSさんの二名だとDくんは言う。学級の中では比較的おとなしい二人だった。
 朝の会で「あれは誰が描いたのか」と尋ねた。教室の空気が一瞬にして冷える。「立ちなさい」と言ったが、誰も立たない。そこで、こちらからOさんとSさんの2名を名指しし、全体の場で説諭しようとした。ところが二人とも自分たちが書いたことを認めない。「やっていません」「なぜ疑うんですか」と言う。私は、「君たち二人だと言うことはわかっている」と言うと、周りの女子生徒が騒ぎ始めた。発言力の大きな女子生徒Aさんが真正面から反論した。「書いたかどうかわからないのに、疑うなんてひどい」と、彼女は言った。朝、私に2名の生徒の名前を教えてくれた男子生徒Dくんは黙っている。その生徒に、「OさんとSさんだよな」、と尋ねると「俺、知らねえ」と彼は言った。完全に行き詰まった。
 結局OさんもSさんも書いた事実を認めず、学級の騒然とした状態を収めることもできなかった。
女子生徒を中心とした猛烈な抗議を浴びながら、「人の家の前に落書きをするのはいけないことだ」というどうしようもない一般論を語って朝の会を終え、教室から職員室へ戻った(逃げ帰った)。
 おそらく二人にはそれほどの悪気があったわけでもない。他愛もない出来事である。二人を呼んでそれとなく説諭することもできただろう。そもそも「素敵な絵をありがとう。今度は画家のサインも書いてね」とか言ってニッコリ笑って、その日の予定を伝えるくらいの程度で良かったはずなのだ。
 この朝を境に、早速この日の授業から、子どもたちの反発がひどくなる。女子生徒全員での授業中の無視など、目に見えて教室の中が落ち着きをなくし、授業が崩れていく。私は実はこの教室を、このまま中学校3年生まで三年間持ち上がっていくことになる。年度代わりに担任を降りることもできたはずだが、崩壊の過程で、ある種の共依存のような関係も生まれていき、冷静さを失っていたのだろう。この学級を手放すことができず、子どもたちにも自分自身も大きな傷を負うことになった。
 中学校三年生の卒業式前の教室で、私は子どもたちに、ひどい三年間になってしまったことを詫びた。そして、「こんな教室大嫌いだっただろう、教室にある掲示物はみんな剥ぎ取ってしまっていい」と言った。男子数名が猛然と掲示物を剥ぎ取っていくのを茫然と見ていたことも、はっきりと覚えている。

 

『説明責任時代の生徒指導力 (学級経営力を高める)』(明治図書、堀裕嗣、桑原賢、石川晋、2005,3)に当時の詳細を記録しており、それを元に再構成した。

授業づくりネットワークNo.36―学級崩壊を問う!

授業づくりネットワークNo.36―学級崩壊を問う!

  • 発売日: 2020/08/04
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

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2020年連続講座日程(8/18更新)

2020年度4月からの連続講座です。コロナで全く予定通りに進まず 笑

大幅日程・内容変更で臨みます。

実施会場は、北海道・名寄、札幌、仙台、水戸、大宮、甲府、東京・国立、伊豆大島、千葉・市川、横浜、金沢、名古屋、大阪・柏原、新大阪、尼崎、徳島、岡山、防府です。

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【北海道・名寄】

4月4日土曜日  名寄連続講座1/4「学級通信の書き方」 

10月19日月曜日名寄連続講座2/4「教室づくりの基礎基本」

12月27日日曜日名寄連続講座3/4「道徳授業づくりの基礎基本」

3月27日土曜日 名寄連続講座4/4「学校とゆるやかに伴走するということ」

【札幌】

4月5日日曜日  札幌連続講座1/6「学級通信の書き方」

7月4日土曜日  札幌連続講座2/6「教室読み聞かせの基本」

8月8日土曜日  札幌連続講座3/6「国語授業づくりの基礎基本」

10月25日日曜日札幌連続講座4/6「教室づくりの基礎基本」

1月8日金曜日  札幌連続講座5/6「自分の実践をリフレクションする方法」

3月28日日曜日 札幌連続講座6/6「学校とゆるやかに伴走するということ」

【仙台】

7月26日日曜日 仙台連続講座1/3「学級通信の書き方」「教室読み聞かせの基本」

12月1日火曜日 仙台連続講座2/3「教室づくりの基礎基本」

3月13日土曜日 仙台連続講座3/3「学校とゆるやかに伴走するということ」

【水戸】

7月11日土曜日 水戸連続講座1/3「学級づくりに基礎基本」「教室読み聞かせの基本」

10月4日日曜日 水戸連続講座2/3「国語授業づくりの基礎基本」

2月23日火曜日祝水戸連続講座3/3「全国の教室を回って考えていること」

【大宮】

6月20日土曜日 大宮連続講座1/7「コロナから見る学校」

7月17日金曜日 大宮連続講座2/7「学級通信の書き方」

9月4日金曜日  大宮連続講座3/7「国語授業づくりの基礎基本」

10月2日金曜日 大宮連続講座4/7「教室読み聞かせの基本」

12月11日金曜日大宮連続講座5/7「もう一度、わたしたちの『撮る教室』の話をしよう

1月16日土曜日 大宮連続講座6/7「校内研修をどうつくるか」

3月12日金曜日 大宮連続講座7/7「1on1対話で考えていること

甲府

9月30日水曜日 甲府連続講座1/3「教室読み聞かせの基本」

12月8日火曜日 甲府連続講座2/3「道徳授業づくりの基礎基本」

1月17日日曜日 甲府連続講座3/3「自分の実践を高めるポイント」

【東京・国立】

6月12日金曜日 国立連続講座1/12「コロナと学校、どう考える」

7月10日金曜日 国立連続講座2/12「文学の授業はなぜ必要か」

7月27日月曜日 国立連続講座3/12「90年代からの教育状況を民間研の動向から考える」

8月27日木曜日 国立連続講座4/12「SNSと教師・学校」    

9月3日木曜日  国立連続講座5/12「個別最適化の迷宮」

9月25日金曜日 国立連続講座6/12「働き方改革の陥穽」

10月27日火曜日国立連続講座7/12「学校に人を呼び続けるということ」

11月2日月曜日 国立連続講座8/12「学級崩壊」

12月18日金曜日国立連続講座9/12「もう一度、わたしたちの『撮る教室』の話をしよう」
1月20日水曜日 国立連続講座10/12「リフレクションという病」

2月10日水曜日 国立連続講座11/12「全国の教室を見ながら考えていること」

3月19日金曜日 国立連続講座12/12「ひたすら質問に応えます」

伊豆大島

7月12日日曜日 伊豆大島連続講座1/2「教室・授業づくりの基本」

12月6日日曜日 伊豆大島連続講座2/2「全国の学校を回って考えていること」

【千葉・市川】

7月8日水曜日  市川連続講座1/4「教室読み聞かせの基本」

www.kokuchpro.com

9月14日月曜日 市川連続講座2/4「国語授業づくりの基礎基本」

11月16日月曜日市川連続講座3/4「教室づくりの基礎基本」

12月10日木曜日市川連続講座4/4「全国の教室を回って考えていること」

【横浜】

8月26日水曜日 横浜連続講座1/5「コロナから見る学校」

10月14日水曜日横浜連続講座2/5「教室づくりの基礎基本」

12月9日水曜日 横浜連続講座3/5「自分の実践をリフレクションする方法」

2月3日水曜日  横浜連続講座4/5「教室読み聞かせの基本」

3月3日水曜日  横浜連続講座5/5「学校とゆるやかに伴走するということ」

【金沢】

9月27日日曜日 金沢連続講座1/1「国語授業づくりの基礎基本」

【名古屋】

7月29日水曜日 名古屋連続講座1/5「コロナから見る学校」

8月25日火曜日 名古屋連続講座2/5「学級通信の書き方」(流会)

11月26日木曜日名古屋連続講座3/5「国語授業づくりの基礎基本」

1月14日木曜日 名古屋連続講座4/5「全国の教室を見ながら考えていること」

2月26日木曜日 名古屋連続講座5/5「学校とゆるやかに伴走するということ」

 【大阪・柏原】

6月19日金曜日 大阪柏原連続講座1/5「学級通信の書き方」

9月11日金曜日 大阪柏原連続講座2/5「国語授業づくりの基礎基本」

10月8日木曜日 大阪柏原連続講座3/5「教室づくりの基礎基本」

12月17日木曜日大阪柏原連続講座4/5「自分の実践をリフクレションする方法」

2月4日木曜日  大阪柏原連続講座5/5「教室読み聞かせの基本

 【新大阪】

6月26日金曜日 新大阪連続講座1/11「教室・授業の記録を書くということ」

7月1日水曜日  新大阪連続講座2/11「校内研修を活性化する」

7月31日金曜日 新大阪連続講座3/11「個別最適化の迷宮」

8月23日日曜日 新大阪連続講座4/11「対談 その1 木脇嶺さんと」

9月17日木曜日 新大阪連続講座5/11「90年代からの教育状況を民間研の動向から考える」
10月9日金曜日 新大阪連続講座6/11「対談 その2 井谷信彦さんと」

11月11日水曜日新大阪連続講座7/11「もう一度、わたしたちの『撮る教室」の話をしよう」

12月4日金曜日 新大阪連続講座8/11「対談 その3 吉永かおりさんと」

1月29日金曜日 新大阪連続講座9/11「全国の教室を見ながら考えていること」

2月19日金曜日 新大阪連続講座10 /11「コロナの一年をリフレクションする」

3月21日日曜日 新大阪連続講座11/11「対談 その4 武田緑さん&松永悟郎さんと」

【尼崎】

7月2日木曜日 尼崎連続講座1/5「学級通信の書き方」(流会)

8月24日月曜日 尼崎連続講座2/5「国語授業づくりの基礎基本」(流会)

10月7日水曜日 尼崎連続講座3/5「教室づくりの基礎基本」

12月3日木曜日 尼崎連続講座4/5「全国の学校を回りながら考えていること」 

2月5日金曜日  尼崎連続講座5/5「学校とゆるやかに伴走するということ」

【徳島】

10月16日金曜日徳島連続講座1/2「教室読み聞かせの基本」

2月17日水曜日 徳島連続講座2/2「全国の学校を回りながら考えていること」

【岡山】

9月20日日曜日 岡山連続講座1/1「国語授業づくり・学級づくりの基礎基本」

【山口・防府

11月22日日曜日防府連続講座1/1「国語授業づくり・学級づくりの基礎基本」

森山大道、神田日勝 アートを充填する

6/6土曜日。

東京都写真美術館で、森山大道

 アートから遠ざかっていた自分を実感。最初は、ぼうっと見えて、途中からようやく、いろんなものにわーっと取り囲まれている自分に出会う感じ。

森山の持つ小さなカメラが映し出す世界は、ぼくが知り始めた東京だ、と思える。「考えるまえに写し撮れ、直感したものはためらわず写すべし」。その後歩く東京の街の一つ一つが、森山のアングルのように見える。田舎に暮らしたボクも、世界中の人々も、東京を森山のアングルで知ってきたのだろう。

 

6/7日曜日。

東京ステーションギャラリー神田日勝

二日目は数十年ぶりだという神田日勝の東京での個展。朝ドラ”あおぞら”ブームの流れもあっての展覧会なのだろう。ぼくは日勝の作品を何度も何度も見ている。最後に担任した子どもたちと一緒に鹿追の神田日勝記念館も見に行ったのだ(彼らは、あおぞらを見ながら、あの日のことを思い出しただろうか? 『しなやか』本にその日のことは書いたのだ)。

学校でしなやかに生きるということ

学校でしなやかに生きるということ

  • 作者:石川晋
  • 発売日: 2016/08/10
  • メディア: 単行本
 

さて、その日勝の作品群を東京のど真ん中で見るということはどうなのだろうと思ったのだが・・・。

なんだろう・・・電車を乗り継いで会いにいくというような場所に居る絵ではない・・・という居心地の悪さ。それを前提に、一枚一枚の絵が、ここにいることの居心地の悪さを主張しているかのようにも感じられる。不思議な感覚。東京と北海道二つの世界を生きている自分の難しさに向き合わされるようで、揺さぶられる。東京駅の宙に舞う半身の馬の居心地の悪さを感じる自分を、どう捉えればいいのだろう。

日勝記念館は小さい、常設展示できる作品は、収蔵の一部。ステーションギャラリーで初めて見る作品もたくさん。充実の展覧会だ。

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ジョッピンカケタカ

ジョッピンとは、北海道弁で鍵のこと。ジョッピンかるは、鍵をかけること。

今年も、”ジョッピンカケタカ”の鳴き声が聴こえる季節になった。エゾセンニュウ、です。今日は、アリスイ、センダイムシクイキビタキコルリ、山は盛況でした。

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今は亡き佐藤正三先生には、本当に可愛がっていただきました。母と弟と一緒に、ピウケナイの沢を探索したり、小さな頃、いろんなところに連れて行っていただきました。センダイムシクイの鳴き(聞きなし)は、焼酎一杯グイだと、教えていただいて・・・先生、今日は雑木林の中で、呑兵衛の鳥たちがいっぱいでしたよ。

北海道も初夏の趣きなり。

午前は、長期戦になった出版の打ち合わせをオンラインで。

夜は1on1.

 

アートが足りない

今日は、若い友人と午前中に本を挟んで対話。

気づきをメモとして残しておく。

 

<アートとスポーツと>

社会の役に立たないものとして見事に切り捨てられたアートとスポーツ。

スポーツベース(マインド)で創る学校、アートベース(マインド)で創る学校。

アートが、オンラインを介してでは届けられないものとは。

宗教が、オンラインを介してでは届けられないものとは。

仮に、それでも大半のことが届けられるのだとして・・・では、それでも届けられないわずかな部分を丁寧に見つめ続ける必要はないのか。

 

<多様な視点で>

いろんな「視点を借りてくる」ということへの違和感。

スポーツマン的全能感は、自分の足りないものを補うという発想とくっついているのか。

アート(マン)的欠落感は、自分が何もかも足りなすぎるという感覚に立つ。それは「借りてきて補える」ような量ではない。自分は圧倒的に足りないということが自分の存在価値でさえある。圧倒的に足りない一人ひとりが持ち寄るのである。だから、「視点を借りてくる」のではないなあと思う。私も一つのつたない視点として私自身をも持ち寄るしかないものなんだ。

 

<問題を解決することの>

ゴールを想定して、問題を解決する立ち方は強いし、かっこいい。

しかし、そのアグレッシブさの中で失われる純粋で原初的な感情はないのだろうか。

それは問題解決と共に蒸発してもいいものなのか。

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ブッククラブ など・・・1on1の場から立ち上がる新しい場に心が動きます

1on1対話の中から、何人かの方の新しい動きが生まれてきました。

今は、ブッククラブ が一つ。そして理科のブッククラブ が一つ。さらに校内研修を話すクラブが一つ。

こういう動きが生まれてきて、ぼくが北海道から九州まで話をしている皆さんがそれぞれつながっていくのは、壮観です。

これまで取り上げてきた本。

きみは知らないほうがいい (文研じゅべにーる)

きみは知らないほうがいい (文研じゅべにーる)

  • 作者:岩瀬 成子
  • 発売日: 2014/10/24
  • メディア: ハードカバー
 

 

 

うなぎ 一億年の謎を追う (科学ノンフィクション)

うなぎ 一億年の謎を追う (科学ノンフィクション)

  • 作者:塚本 勝巳
  • 発売日: 2014/10/28
  • メディア: 単行本
 

 

みずとは なんじゃ?

みずとは なんじゃ?

 

 

か わ (こどものとも絵本)

か わ (こどものとも絵本)

  • 作者:加古 里子
  • 発売日: 1966/09/01
  • メディア: 単行本
 

 

絵巻じたて ひろがるえほん かわ (福音館の単行本)

絵巻じたて ひろがるえほん かわ (福音館の単行本)

  • 作者:加古 里子
  • 発売日: 2016/09/10
  • メディア: 単行本
 

実に雑多な本 笑

 

 

 

 

1日目が終わったみなさんへ

これは、この絵本を知らない、困難な1日目を終えて帰ってきた先生方へ、ぼくから贈ります。これは、子どもたちに読む本ではありません。あなたが、あなたのためにそうっとゆっくり静かに読む本です。

1日目、おつかれさまでしたね。

だいすきな先生へ (児童図書館・絵本の部屋)
 

ぼくも、この絵本の少女のような子どもでした。

色々、顛末は違うけど、ね。

学校再開にあたって

みなさん、どうぞ明日(6月1日、もう、今日ですね)は爪先立って、履修の都合に血道をあげる1日にならないようにと、願っています。

先生方お一人お一人がキツかったように、子どもたちも本当にキツかったでしょう。ご家族の方も大変だったはずです。その真ん中にある感情を、両手の掌でお碗みたいにして水をこぼさぬようにすくい上げる、そういう朝でありますように。

ぼくは、このコロナ期間で、やはり自分の思い描いていたものはずいぶんと変わってしまいました。今年は4月から学校訪問はほぼできませんでした。また、再開後も、ぼくが思い描くような伴走は難しいでしょう。

ですから、今年で終えようと思っていた伴走は、もう一年。2021年度だけ続けてみようと思っています。小さな宣言です。宣言しないと、揺らぐので。

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1on1対話は、50名強のみなさんと8月半ばまで契約しました。新規の方は、お声がけいただければ相談には乗れますが、日程のご希望に沿うのはなかなか難しいと思います。