2冊の本を書く

2冊の本を書いています。

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一つはファシリテーターのちょんせいこさんとの本。国語の本。ぼくとの付き合いが長かったり深かったりする人は、ぼくがもう何年も前からハウツー・ノウハウの情報発信に興味を失っていることも、自己啓発的な成長論や教師像啓蒙にも興味がないことも知っていると思います。

ぼくのことを、逆説的とか、予想もしないことを語るとか評する人もいますが、ぼくはそれを狙っているわけでもなくて、要するに、答えのないことを一緒に考えたいと思っているというのが一番、答えに近いのです。

せいこさんはファシリテーターであり、スキルを積み重ねていくことで、日常を世界を、少しずつ前に進めていけると信じている人でもあります。

一方のぼくはファシリテーターなどではなく、実践者です。ですからぼく自身がおこがましくファシリテーションの本を書いたりすることもできません。アクティブ・ラーニングに至る流れの遥か以前から、公立中学校の現場で活動中心型の授業を行ってきた先駆的な実践者の一人という自負はありますが(おそらくそうした本を書いているほとんどの方よりもぼくは早くから取り組んできたし考えてきたと思います)、だからと言ってアクティブ・ラーニングの本を書こうなどとも全然思わずにきました。

意固地なのです。書き方も意固地ですね 苦笑。

しかし、この二年、全国の学校現場を回りながら、ぼくが教室で先生方と伴走しながら形にしてきた授業のことは、このタイミングでなら形にして残してもいいかもと思いました。意味があるかも、と。

そうすると、何年も一緒にセミナーを続けてきて、せいこさんのファシリテーションを深く信頼し尊敬もしているので、唯一度だけ、国語のノウハウの本を書くのなら、そこを信頼して、せいこさんとならやってみようと思える、せいこさんなら、ぼくのうまく書けないことを言語化していただける・・・そういうことでしょうか。

二人の考えは重なるところも、近寄りもしないところもあるわけですが、少しずつ方向が見えてきました。後は間に合うかどうか、なのだろうと思います。

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もう一冊は、we誌に連載してきた「公立中学校でしなやかに生きる」を書籍にするということです。ちょうど現場の最後からその後の二年の仕事の部分を形にしようということです。つまり、『学校でしなやかに生きるということ』のその先でぼくが考えていることを形にしようということです。

学校でしなやかに生きるということ

学校でしなやかに生きるということ

 

前作は、育児休業直前から校内研修と民間研修の新しい在り方を模索してさまよった時間でした。民間研修の場で、一緒にグラフィックがファシリテーションのツールになるプロセスを生み出していく努力を続けてくださった濱口恵美さんに表紙を描いてもらいました。

今の新しい本の表紙は、大人トークの一番最初の原型を作るお手伝いをしていただいた画家盛本学史さんにお願いをしました。彼はぼくのクラスを何度か見ており、ぼくの信頼するアーティストなのです。

こちらは、前作よりは少し連載の分量が少ないので、結構書き足さなくてはなりません。それも書いては止まり書いては止まり、まさに逡巡しています。対談は武田緑さんとのものが終わっており、この中身もまさに今出さなければならない中身です。

この2冊は、震災直後に出した3冊の単著が3冊で1セットだったのと同様、ぼくの中では対になるものです。

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 ですから2冊ともこのタイミング以外に出される時はなく、どうしても漕ぎ着けなければならないものなのです。でも出せるかな、まさにギリギリになって来ました。

明日からの東北、北関東の小さな旅も、この二冊の本のことは、ぼくの頭の真ん中にあり続けることになります。