アートを旅する 2021年9月下旬

松下功 MEMORIAL CONCERT2021第一部

ムジカーザ、小さなホール。こうした小規模のホールにハズレなし、とても良い響きで、LIVEを堪能した。
土屋律子さんの愛に満ちたピアノ。渡邉智美さんの爽やかな歌声。松下作品は日本的な抒情があふれる佳品揃いだった。プーランクの”象のババールのお話”は、これを聴きに行ったのだが、やっぱりよくわからない曲だった。

オーケストラ・トリプティーク第9回演奏会

山田耕筰松村禎三黛敏郎伊福部昭團伊玖磨錚々たる日本の作曲家の若い時分の作品を並べて聴く演奏会だったが、芥川也寸志の”弦楽のための三楽章「トリプティーク」は、もう群を抜いた名曲なのだと改めて思った。この曲は、世界レベルの頭はいくつも飛び抜けた歴史に残る名曲だと思う。恐るべし。若いオケ、熱があっていいな。どの曲も明晰に振り分けた藤岡幸夫さん、さすが。渋谷区さくらホール。

二子玉川ライズ薪能

二日日程の初日。二子玉川の商業施設の屋上のガーデンでの薪能は、周囲を取り巻くオフィスビルやタワマンの現代的な灯りとのマッチングが素晴らしくて、よくぞここでお能をやるなどと考えたものだと感心してしまった。、若い頃に見た能も狂言も実はぼくには退屈だった。それで久しく跨いできたのだが、歳を取る、知識を得るということは、素晴らしいことだなと思う。55歳になろうかというこの歳に観るお能はしみじみと美しく楽しかった。構造が見えるのだ、様々な。

札幌交響楽団名寄公演

カルメン」に感動してしまった。名曲というのは本当に名曲なんだな。どの曲も素晴らしすぎるじゃないか。ベートーヴェン7番も、しっかりとしたテンポで歌う舞踏で、ここしばらくで聴いた同曲の演奏では一番よかった。円光寺雅彦さん。堅実で良い仕事をする指揮者だった。札響は地方公演でも手を抜かないね。素晴らしい。en-rayホール。

盛本学史絵画展

ピカソ画廊。久々に会う盛本さんは相変わらず素敵であった。今回は絵本仕立ての絵画+テキストがとても幻想的で、なかなかよかった。盛本さんの作品は、玉手箱のようにいろんなびっくりするものがどんどん溢れ出てきて、本当に楽しい。光工場の連作はとてもいい。

コンサート×お芝居 ベートーヴェン物語

大雪クリスタルホール音楽堂
みむみむの森という一般社団法人が全国の親子のために一流のアーティストたちで構成して展開する1時間ほどのコンサート。東京演劇アンサンブルの俳優公家義徳さんがベートーヴェン役。この日の演奏者はピアノの三村真理さんとフルートの小野範子さん。久しぶりのクリスタルホールに感激。お客さんは本当に少なかったけれど(宣言下だし)、本気で音楽の素晴らしさを伝えようとする入魂の演奏に心が動かされた。手前味噌だけど、コロナ下でもライブ講座をやめずに続ける自分の姿と重なって、とても大きな勇気をもらった。

京都フィルハーモニー室内合奏弾第28回定期公演A「平和の願い」

京都フィルハーモニー室内合奏団&柳澤寿男さん。ショスタコ室内sym。いやあ素晴らしかった。コソボでまさに平和を希求しながら音楽活動を続けてきた柳澤さん入魂の演奏。応えるオケも素晴らしい。名演。後半の山本純ノ介さんの音楽劇「月のうさぎ」。茂山宗彦さんの語りはスターの存在感十分だが、ケレン味が 笑 演奏が耳に入ってこない・・・。講殿由紀奈さんのソプラノがとてもよかった。まさにハマり役! 京都まで日帰り往復だったが、聴きに行ってよかったなあ。京都コンサートホール小ホール。

岬のマヨイガ

よい作品だった。それはまさに本の出来栄えの違いということでもあるのだが、竜とそばかすの姫よりもずうっと切実さも訴求力も上でした。語りをベースにした作品である以上、圧倒的な語り手が必要であり、この作品なら三世代の名優をアフレコに使う必然性もあった。ここに書くことではないかも知れないが、細田さんは脚本を手放した方がいいと思う。どこをファンタジックに(しか)解決すべきなのか、柏葉幸子さん(パンフレットには、表現者としての誠実な紹介文がありました)も脚本の吉田玲子さんもちゃんとわかっている。細田さんにはそこは真逆に理解されており、だから、物語は限りなくチープになる。チープに扱ってはいけないテーマなのに、ね。観客は3人。上映まもなく終了だろう。間に合ってよかった。イオンシネマむさし村山。

Youth Choir Aldebaran第3回演奏会

「黄色い鳥のいる風景」がどうしても聴きたくて。後半は栗山文昭さんの指揮。三善晃は本当にすごい作曲家なんだなと思う。若い合唱団である彼らがひたむきに歌う青さに心が動いた。にしても素晴らしいギター(羽野誠司さん)が、最後は抑制が効かない若い合唱であまり聴こえない 笑 そういう若さがまた良いのである。杉並公会堂

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本気でアートに浸る9月後半だった。