最近読んだ本から その46

この夏はまるで本が読めなかった。いくつか持ち歩いていた本も、途中から全然読めなくなった。8月は児童書を入れても10冊を下回る有様だった。書くのもつらかった。今もそれら全ては改善されていない。

・青山新吾『エピソード語りで見えてくるインクルーシブ教育の視点』

小さな本だが、どでかい提案の本だった。青山さんの人となりも語り口も知るから余計にそうなのかも知れないが、語られるエピソードの「現場」が彷彿とする書き方は、青山さんの真骨頂だ。新しいかっこいい学校も実践も山ほど情報が飛び交うが、ぼくも含めて、そのほぼ全てがぼんやりしている。青山さんに出会い直しながら、起きていることを誠実に悩み抜きながら語る(書く)こと、そして語る(書く)そばから、そのこと自体が疑わしく思えてしまうこと、頭を抱えてしまいたくなるようなこと、立ち尽くしてしまうようなことが、全くもって不十分だからなのだなあと恥ずかしくなる。「子どもの事実で語りましょう」などという歯の浮くような言説のほとんどが空っぽであることを思い知らされる。子どもを見る、授業を考える、ということを本気で考えたい人は、この本をちゃんとくぐってほしいと思う。

 

ピーター・メイル谷川俊太郎(訳)『ぼくどこからきたの?』

5年生のうららに読み聞かせした。少し古い本で、情報的に語り方的に今ならさらに改良が加えられるでしょう。でも、ぼくもかつて読んで、印象深かった作品だし、対話しながら読むには、とても良い作品だと改めて思った。