伊藤崇『子どもの発達とことば』を読みながら…秋なのですよ

もともと「マルチタスク派」のぼくは、いろんなことを同時にしていきます。深掘りが苦手ですが、関連付けは得意です、多分。

いくつかの本と、送っていただいた資料と、TODO確認と、研修会準備を並行して進めています。

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伊藤さんの本、ようやく読み進み始めました。

伊藤さんは、ぼくの研究会に何度か来てくださっただけでなく、ぼくの教室にも来てくださっています(きっとあの後の最後の数年の方が、伊藤さんには興味深かったかもなあ)。この本を読みながら、今改めて、あの日、伊藤さんはぼくの教室で本当は何を見ていたのだろう(どんな声を聴いていたのだろう)と思いました。その後ぼくは伊藤さんのゼミで絵本の読み聞かせもしたのですが、伊藤さんはぼくの読み聞かせではなく、多分学生さんたちの所作を見ていたのだろうなということも。

こどもが生まれ一年間の育児休業と取得したわけです。ですが、自分の中で起こった変化にぼく自身は当初無自覚でした。たしか育児休業期間の後半に、仙台のちょんせいこさん主催のセミナーで大島崇行さんと対談し、彼に育児休業で起こった変化について問われて、「何も別段変わっていない」と答えたと思うのです。

ですが、伊藤さんの本を読みながら、ぼくの子どもたちの声の聴き方、所作の見方ははっきり変わったんだなと気付かされる・・・。

学びのエクササイズ子どもの発達とことば

学びのエクササイズ子どもの発達とことば

 

伊藤さんのやわらかい語り口が伝わってくる文体を、今中盤くらいまで少しずつ少しずつ読んでいます。おすすめします。 

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外は秋。今日はそば畑の中に、ハネナガキリギリスの姿を視認。しかし、老化した身体は捕束に失敗しました。

 

都響・調布シリーズNo.20 2018.9.9 調布市グリーンホール

都響・調布シリーズNo.20 日時:2018年9月9日(日)14:00開演(13:20開場)

場所:調布市グリーンホール
指揮/藤岡幸夫、ピアノ/イリヤ・ラシュコフスキー

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曲目は、ラフマニノフの2番協奏曲とベートーヴェン7番。

ラシュコフスキーははじめて聴きましたが、アンコールも含めて、とても好感が持てました。時々ガムランのような不思議な音が鳴るピアニストで、ぼくは音色に個性のある演奏家がとても好きなので、大満足。

グリーンホールは、要するに昔の「公会堂」みたいなホールで響きはデッド。でも、ラシュコフスキーのピアノは、一番後ろのぼくの席にもかなりクリアに聴こえました。魅力的なピアニストでした。

藤岡さんの7番は、エンターテイメント。前回読響&カンブルランで聴いた重厚なベートーヴェンとは全然違うアプローチで、これはこれでとても楽しかったです。

会場、満席。ぽかっと空いた日程に無理に突っ込んだコンサートでしたが、とても満足でした。

それにしてもラフマニノフの2番協奏曲、本当に人類がたどり着いた表現の極北の一つだなと思います。何度聞いても、大名曲ですね。最後の数小節のコーダを除いてです (笑)。

ラフマニノフって、曲をうまく閉じられない人なんだと思います。3番協奏曲はもちろんひどい終わり方だし、パガニーニ狂詩曲も、そう。シンフォニーもそう。

だけれど、取ってつけたようなあるいは唐突な、あるいは蛇足な、最後がたまらないなあとも思います。終わるって難しいこと。映画「ダンサー・イン・ザ・ダーク」のセルマを思い出します、まあ、あれは素晴らしいラストを見る前に立ち去るわけで、この場合とは真逆なんだけど。

でも、こういう最後をうまく閉じられないラフマニノフの姿、とってもいいと、ぼくには思えます。

授業づくりネットワークin新潟集会が終わりました 2018.9.8

新潟東区プラザが会場です。

今年度5回目の授業づくりネットワーク集会です。

今回もキャンセルゼロ。体調や気持ちの浮き沈みに合わせて、また急な所用に合わせてキャンセル自由にしてくださいという、ぼくらの立ち位置でいいんだなと、意を強くしています。サプライズで加茂勇さんも参加してくださいました。

阿部隆幸さんが早速感想をまとめてくださっています。

scrapbox.io

阿部さんの振り返りといろいろかぶってしまい、しかも阿部さんの方がクリアな振り返りになりそうですが・・・。

今回の授業づくりネットワーク集会は、少しだけ今年度のここまでの会とは違うところもありました。まず一つは、春の東京集会で中川翔太さんにグラフィックレコーディングをしていただいて以来久しぶりに、現地のお二人(小島さんと前田さん)にファシリテーショングラフィックをしていただいたことです。(6月の北海道集会は、藤原友和さんが講師の一人でしたので、グラフィックという表現そのものが検討の対象でしたので、これもやや異質でした。)新潟集会は、グラフィックがしっかりと会のファシリテーションのために生きることを参加者にも伝えたいということで、午前の「ファシリテーション」は書いたお二人にしていただき、最後の「ファシリテーション」はぼくが、グラフィックを活用する形で動かしていきました。グラフィッカーのお二人には「お礼」もしっかりすることができました。グラフィッカーを添え物にして書かせるだけの風潮を、絶対変えたいという強い思いがあります。

当日まで方針が決まらない中で、現場主義を貫いてくださったお二人には感謝でした。この辺りの一連のこと(講師としてしっかり位置づけるべきということ、お絵かき・写メ大会にしないということetc.)は、一昨年度、濱口さんや奥井さんにファシリテーショングラフィックをお願いし、一緒に考えて活動してきた中で、ぼくが実感として感じてきたことでもあります。

最後のリフレクションへの活用は、終日たくさん描いていただいたものを、三枚写メに撮り、その三枚をつなげて、今日の学びのストーリーを作って、時間いっぱい参加者同士で交流するというものでした。この手法は、たしか3月に仙台集会の際に、藤原友和さんが採った方法にインスパイアされたものです。あの時藤原さんは、一枚の写真に絞り込んで自分の気づきを交流するという仕掛けを動かした記憶があります。今回は、3枚でストーリーを作るという形を取ってみたわけです。

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さて、会の中身ですが、何と言っても、片山敏郎さんの提案のものすごさにしびれました。ICT,デジタル教科書の雄というイメージが強いわけです、片山さん。でも考えてみればわかることだったのですが、そうしたツールが出てくるずうっと前から、現場で深く考え、社会科・総合と本気で向き合ってきたその歴史なく、今ぼくらの目の前に見えている実践群が生まれるわけがないわけですよね。吉本均の学習集団づくりの考え方や築地久子に代表される社会科の初志を貫く会の思考が、片山さんの中で、見事に止揚されている様が実践の映像からも言葉からもバシバシ伝わってきて、ほれぼれしました。授業づくりネットワークとつないでくれた大島さん、ありがとう。

片山さんには、事前からぼくらの会のコンセプトや集会づくりのニュアンスをうまく伝えられず、ご心配をおかけしたかと思います。ぎりぎりまで細部の方針が決まらない、最近の自分のぐしゃぐしゃぶりに、少しがっかりでもあります。お付き合いいただいて本当にありがとうございました。

さて、問題は、やはり阿部さんが指摘の通り、このぼくらベテラン世代の気付きや驚きが、参加者と共有できるかということなわけです。

たしかに、今の授業づくりネットワーク集会の内容に舵を切ってから、参加者はベテランが大目になっています。

でも、ぼくらは、ベテランを(だけを)参加者想定しているわけではなく、むしろ若い先生方に、ここで、これまでの教育の知見や学びの歴史とうまく接合していただけたらと思っているわけです。そのための会の作り方として、これでいいのか・・・。今回もいろいろな気づきがある集会になりました。

また、内部講師をメインに集会を回してきたのですが、片山実践の圧倒的な力強さにほれぼれし、やはり時には外部の講師を招くのもいいなあと思った次第です。それは前回の広島集会で、大木さんと荒谷さんに登場いただいた時にも感じていたことでした。

今回は、終了後、スタッフと片山さんで少しだけ呑みました。ぼく、呑むの久しぶりでした。「懇親会まで含めての研修会」というお決まりの形を変えてみたいということ、それにそもそも最近ぼくは以前にもまして酒癖悪くて方々に迷惑かけるんで、懇親会はなしにしているわけです。でも、今回のような場もたまにいいかもなと思いました。ここでも、詳細は書かないけれど、それぞれの人たちの人生の選択に、心を動かされました。

さて、次回集会まで少し時間があります。じっくり考えてみようと思います。

12月1日 北九州集会

12月8日 三重・津集会

1月19日 名古屋集会

1月27日 大阪集会

2月23日 岡山集会

3月30日 仙台集会

to be continued...

 

 

第65回教育カフェマラソン 話題提供者 荒木寿友さん (立命館大学大学院教職研究科教授)に行きました 2018.9.7

御厨さんの東中川小学校の後は、夜、箕面こどもの森学園へ。

第65回教育カフェマラソン 話題提供者 荒木寿友さん (立命館大学大学院教職研究科教授)に参加しました。最寄り駅から結構遠いのねぇ。5分くらい遅れましたが、荒木さんのお話ほぼ全部聴けました。

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いくつか会場で感じたことは、ツイートしましたので、重複はできるだけ避けますが、藤田さんが、「川で子どもたちが遊ぶ経験の話から、子どもが学ぶってことの本質を突く発言をされていて、すごくしびれました。無力さもちゃんと知るってこと。根っこにあるものは愛なんだな」と。荒木さんのお話をお聞きしながら、ああ、今ぼくらの社会の教育を巡る言説動向の多くは、なんとなく、外に置かれた目的に規定されているんだな、と。特に、道徳はとかく外側の規範に合わせる流れで進みがちだな、と。

箕面こどもの森、小さな学びの場でしたが、居心地のよい空間でした。帰りがけ、丁寧に校内を案内していただきました。

ぼくは、きっと間違って申し込んだんだろうと思われていたらしくて、本当に来ると思われていなかったようでした (笑)

 

大阪市立東中川小学校 2018.9.7に行きました。

大阪市立東中川小学校に行きました。9月7日です。
御厨さんの教室、二学期スタートで、いろいろ災害もあり飛び石での登校と予定変更が連続している中ですが、とても闊達でよい雰囲気でした。
御厨さんの所作も安定していて、授業も順調に動いていました。
集中的に学んでいる協同学習、演劇的手法を授業の中に活用しようという意欲もあふれていて、楽しかったです。

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ここからの課題については、御厨さんともお話ししました。方法として使えるようになりつつあるこうしたものを、必要な教材、必要な場面を精査して使っていくということかなと思いました。

一時間の学習過程、単元の学習過程の中で、子どもたちが体験的・協同的活動で学ぶ必要のある場面はどこなのか。先生がクリアに伝えてしまった方がよい内容は何なのか。
もう一つは、手法の習熟に関わることば掛けと重ねて、本丸である教科内容の質に関わることば掛けをどう積み重ねていくか、かと。
どんどん子どもたちの姿も伸びてきています。今回は二週間後にすぐに行けますので、とても楽しみです。

今回は、御厨さんが、算数の研究授業が近い隣のクラスの先生に教室を一時間お貸ししました。こういう動き、温かい、と思います。ぼくもその授業を見せていただいて、その先生と振り返りをすることができたのがとてもよかったです。ぼくが学校に入ることで、御厨さんだけでなく、様々な方の力になっていけることは、ぼくの願いでもあります。もちろん最終的には、ぼくの必要はなくなっていくわけです。

上板町立東光小学校 2018.9.6 三回目でした

東さんの教室。

5年生。

東さんが、多分東さんらしく子どもたちと関われるようになり、子どもたちも一人ひとりの姿がよく見えるようになっていました。

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先生が先生らしくなっていくに従って、子どもが色を失っていく教室があるのですが、いい流れになっていると思いました。

東さんは、語りたいことのたくさんある人、願いのいっぱいある人。

原点回帰は大切だなと思います。

課題もいくつかありますね。

教室掲示に子どもたちの歴史が見えるといいなあ、とか。

新しい実践を、どう子どもたちの中に差し出していくか、とか。

今回の東さんは雄弁で、理想をきっちり語る、凛とした先生でした。

10月にももう一度見せていただきたかったなあ。次は11月です。

 

徳島にたどりつきました

東さんの学校に、明日一日遅れで入れます。

徳島では、定番の麺王。

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定宿に着き、前田さんのリフレクション支援をオンラインで。今回も実におもしろい。

その後、ネットワーク新潟集会の準備。定員の20名に本日達しました。少し増席。広島に続き新潟もよき人々と濃密な時間を過ごせそうな予感。ゲストの片山敏郎さんとメッセージで打ち合わせ。とうとうお会いできます、とても楽しみです。

www.kokuchpro.com

それから娘に葉書を一枚書きました。

今日は、授業づくりネットワークの次号の企画が確定しました。次号はリフレクションがテーマ。お楽しみに。

それからちょんせいこさんと春に刊行する本についての打ち合わせ。ようやく、「正しき」プロットが見えてきた気配です。

それから未来の先生展に関するやりとり。

www.mirai-sensei.org

もういろんな仕事が結構エンドレスな一日でした。

ありがたいことだなあ、と徳島までのバスの中で、思いました。

娘は、体調が悪くて、「先生、具合が悪いので、国語見学してもいいですか」と言ったらしい。

とか。

授業は転がる石。毎回のアセスメントを燃料にして進んでいくものだ、と、メールでやりとりしながらしみじみと思う。

とか。

伊藤崇さんからいただいた新刊本がとてもおもしろい。

学びのエクササイズ子どもの発達とことば

学びのエクササイズ子どもの発達とことば

 

 とか。

 エル=バシャのラヴェルのピアノ協奏曲に聞き入る。

ラヴェル ピアノ・ソロ作品全集

ラヴェル ピアノ・ソロ作品全集

 

 とか。

 

 

エネルギーを持ってくる

ああ、台風みたいな人がいるなあと思いました。

台風を「体験」したのはこれがはじめてだと思います。

あまりにもすごい風。

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基準のない自分は判断できないのですが、どうやら関西でも記憶にない風なんですね。

南の海上から、これほどのエネルギーを持ってくる…すごい。

台風ってエネルギーなんだと、はじめて思いました。

ああ、台風みたいな人がいるなあと思いました。

原稿を書こうと思っていたけれど、あまりのことに、何もできずにこの時間になりました。授業づくりネットワークの最新号の打ち合わせだけはなんとかできました。

 

 

まあ、予定通りにはならず…

台風が来るということです。

北海道で生まれ育ったぼくには、これだけ近づいてきてもなんだか現実感がなく。

明日の豊里南小学校の公開研修会は中止です。

吉永さん、夏休みからずうっと準備をしてきたのでがっかりでしょう。

まだ確定ではありませんが、10月15日に、今回の振り替えをすることになりそうです。どうぞみなさん日程調整の上いらしてください。

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明後日は徳島の上板町立東光小学校。ここは前の日の夕方のうちに瀬戸内海を超えなければならないのですが、きっとこれもだめでしょう。

(結局、バスが止まりました、やはりだめでした。翌日ですね)

東さんとは、ダメなら翌日ね、と話し合う。

人生は予定通りにならないことばかり。

上手に呑み込んで、ゆく。

ぼくも今日は、日程調整だけで、後は何にもできませんでした。

 

文学の授業の可能性を探るセミナー 多賀一郎さんと 2018.9.2

9月最初の仕事。

多賀先生に声をかけていただいた、財政的な基盤もなくぶらぶらしているぼくのために、多賀さんがわざわざ企画してくださった会だと思います。ありがたいことです。

kokucheese.com

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多賀さんとご一緒ということで、文学教育の戦後の論争史などは横に置き(実際多賀さんが丁寧に概説してくださいました)、これまで全くやったことのない、村上春樹の作品研究(今回はノルウェイの森)の過程をみなさんに追体験していただいたりしました。細部はわからなくてもいい、作品研究っておもしろそうって思ってもらうというのが、コンセプトです、後出しじゃんけんですけど。

午後は実践寄りの講座。絵本を読み、俳句の鑑賞と、司馬遼太郎さんの”無名の人”。

文学ってなんだろう。語りってなんだろう。司馬遼太郎の文章、興味深い。

夜は4日の準備。天気はあやしいが、資料は決め、大まかな進め方も決めました。