リフレクション書籍出版記念トークショウin紀伊國屋書店新宿本店 2019.3.28

リフレクションに関する3冊の本が刊行になりました。その執筆や編集に関わった3人(渡辺貴裕さん、山辺恵理子さん、ぼく)でのトークショウ。全く違う出版社三人の乗り入れというのは滅多にないことだそうで、これも渡辺さんの機動力ですね。

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お二人とはそれなりのお付き合いの年月も積み重なっては来ました。とは言え、今を時めく実践的研究者の間に入るのはなかなか大変やなあ、とも思っていましたが、とても楽しい1時間半でした。

ぼくが話したことに関わってだけ少しお話ししていくと・・・。 

授業づくりの考え方 ―小学校の模擬授業とリフレクションで学ぶ

授業づくりの考え方 ―小学校の模擬授業とリフレクションで学ぶ

 

これは、模擬授業の場面をどう協同的にリフレクションしていくかを、小学校の様々な教科・教材を取り上げながら、かなり克明に描き出していく、類書のない本です。学校の授業研修は概ねどこも手詰まりになっているわけで、校内研修を推進する先生には絶対のオススメの一冊と思います。学習者だけで進めていく話し合いが次のフェイズに進むための問いが渡辺さん(わたあめさん)から提示されるわけですが、ここの面白さと難しさとが、この本の肝でもあるとぼくは思って読んでいました。特に小4の国語「話し合い」の授業の節は白眉です。

リフレクション入門

リフレクション入門

 

こちらの本は、少しだけ難しいけど、初学者でも読める入門書。学校の中で教職員が育ち合っていくための必要な手がかりはほぼここにあると思いました。コルトハーヘンの実践・理論をベースに書き進められているわけですが、その研究的・哲学的・時代的背景、キーパースンなどについても、本当に丁寧に丁寧に語られている一冊。研究的であるって、すごいことやなあと思います。リフレクト5名の中心座標軸が少しずつ違うんだなということも読んでいくと感じられて、こういうことも、研究的実践者を自認するぼくとしてはめちゃめちゃ面白いのです。

授業づくりネットワークNo.31―リフレクション大全 (授業づくりネットワーク No. 31)

授業づくりネットワークNo.31―リフレクション大全 (授業づくりネットワーク No. 31)

 

で、ぼくらの本。この本を山辺さんは「ミックスフライ定食」と会場で呼びました 笑 実に見事な説明。ぼくらは基本的には現場人なので、現場での模索をできる限り総覧出来るようにしたいということでもあり、その願いは伝わっているとわかって嬉しかったです。胃もたれ度数の高さも・・・。

 

ぼくからの大きな問いは、アジアの研究グループであるリフレクトと長きにわたって関わるコルトハーヘンさんにとっては、この継続的な関わりはどういう互恵的な営みなのだろう(先日の山田洋一さんの提案にも触発されつつ)というもの。

それと、結局リフレクションは協同的な形の中で発生していくもの?・・・(ある程度の)セルフリフレクションはどのような道筋で生まれうるものなんだろう、ということ。

帰り道は、国立駅で降りて夕闇迫る素晴らしいさくら通りをゆっくり歩いて帰ってきました。こちらに来て3回目の桜。それ以前にも一度見ているから4度目の桜。こうしてまた美しい季節のトンネルを歩けることをありがたいと思う夕方でした。

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