Urban Sax Quartet、森は生きている、草の家、星の子、東京芸大チェンバーオーケストラ

くにたち芸術小ホールで、Urban SAX Quartet.若い4人のサックス奏者による四重奏。お客さんのために、そして自分たちが吹きたいものにこだわって。

東京芸大チェンバーオーケストラ。ドヴォルザークヤナーチェクも。K136のディベルティメントを生で聴いたのは中学校時代以来だろうか。幸せな音楽だった。演奏できる喜びを若者が全身で表現する。心が震える。

燐光群「草の家」。スズナリ。坂手洋二さんの暑苦しい脚本(失礼!)には耐えられないだろうなと思っていたが、今作は遅れてきた新人守安久二子さんの脚本ということで、分厚い演出とちょうど良いブレンド具合だった。例えば、暮れに見た箱庭円舞曲など、会話劇の流れを組んでいる芝居も面白い。が、芝居はいわば芝居の言葉で話して何が悪かろうとも、こうした重厚な芝居を見ると思う。濃密なセット。長く生きているが故に降り積もっていく関係性。ぼくにも思い当たることばかり。

森は生きている。オペラシアターこんにゃく座世田谷パブリックシアター

新演出。オーケストラバージョン。指揮を寺嶋陸也さんという豪華さで。オペラ嫌いの僕がこんにゃく座を聞けるのは、これが歌曲と合唱の重なりに聞こえるからだなと思う。それは、日本語が日本語として聞こえるように創るということの積み重ねでもある。「草の家」の話と真逆のことを考える自分は面白が、とにかくこれなら、ぼくはオペラでも聴けるんだなと改めて思う。それにしてもあまりにもいろんなことが重なって、こんにゃく座の”森は生きている”は、僕の人生の小暗い森を旅するような時間でもある。

星の子。下高井戸シネマ

芦田愛菜。圧巻の演技だった。脇を固める役者陣も素晴らしい。それは奇妙な新興宗教の物語だが、徹頭徹尾家族の物語でもあった。映画の中で、芦田演じる主人公は、何度も何度も歩く。一人で歩く。歩くことは、考えることなのだ。今のぼくには、とてもよくわかる。

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