最近読んだ本から その36

ぼくは広尾町在住の頃、隣町のべてるの家に何度か足を運んだ。べてる関連の書物をたくさん読み、べてるの家の在り方や向谷地生良さんの発言、当時はここ以外ではほとんど話題に上ることのなかった当事者研究に魅せられた。2000年くらいの頃だ。民間教育運動の退潮・衰退の時代を生きながら、新しい民間教育運動の形についてをずうっと小さなトライを繰り返しながら考えている。かつての民間教育運動は多分理想の教室の形をイメージしながらそのあり方が模索され洗練されていったものと推察している。教室の班活動も宿泊を伴う組織化や合唱コンクールなどの行事の多くも民間教育運動の推進の形の具現化と見ることができよう。市民教員が新たな教育運動を生み出していくことはどうしても必要なことだとぼくは考えている。その上で、それはこれまでとは違うありようを模索する中で生み出されねばなるまいとも思っている。そのヒントは一貫してべてるの家的コミュニティの中にあると思ってきた。そしてもう一つは多分DARC的組織のなかにあるのでは、と。

まとめてDARCの組織について知る機会になった。色々揺さぶられる。

並行読書に選んでいたのは、つげ義春。インタビューと言って良いのかなと思う、でも編集部の奮闘で実現したインタビュー記録も含め、読み応え満点の特集だった。特に面白かったのはつげの徹底したリアリズム(写実主義)であり、ねじ式が徹底的な参考写真を合わせたコラージュ作品であるということか。マンガはまだ評論が成立する世界なんだなということも。